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2014年5月 7日 (水)

言われて目覚めるということ

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ねこにも一途な思いがある。突然、あるじを失えば悲嘆にくれる。失意の底から抜け出せないのは、ありし日のことがわすれられない思慕の情と、忠誠心がそうさせる。向田邦子さんが可愛がっていた猫は、タイからきたコンラット種、感受性が高く自己顕示欲も強い、伯爵の称号をもち風格があった。名前はマハシャイ・マミオという。人なみに一つの部屋を与えられていた。

帰らぬあるじを想う悲しみから、自分の部屋から出ることなく、だれも受けつけなくなった。妹さんの向田和子さんによれば、四十九日が過ぎたころ、あるじを探しまわる姿が不憫だった。見かねてある日、マミオと対座して、わたしが主人なのだと、こんこんと言い聞かせたという、がばがば噛まれるながら、20分ぐらいも話しあった。へとへとに疲れてきた。猫も観念したのか、もうだめだと、ぐにゃりと力がぬけてきたという。それから受け入れてもらえるようになった。

猫も猫、人も人、戦いすんで感情のもつれはほどけた。マミオは元のように優美なふるまいで、よくなついてくれた。それからは、世話をしながら自分も癒される。姉はもう、ほんとうに大切なものをのこしてくれたたと感謝でいっぱいだった、ごめんなさい、思い出しても涙がでる、と話されています。

マミオは今はいない。マミオは、よき人を得て十分に話しを理解して受け入れることができた。とらわれていた感情は自分でぬぐうことは、中々できなかったものを、ある日を境にふっきれたのでした。先日見た、「おまえなしには生きていけない・・」の再放送は、いって聞かせるという一つのできごとと、その言葉の力というものに、あらためて感慨を覚えたのでした。

 

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