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2017年8月17日 (木)

跡形もなく消えた

170817a


 台風縦断後、明るい夏はどこかへ行ってしまった。集合住宅の一階、ささやかな庭。ハコネウツギ、つばき、くちなし、山茶花の木などがある。いつのまにか桜に似た小さな木が生えてきた。朝、みるとその一枚の葉の裏に蝉の抜け殻がぶら下がっている。このあたりはあぶら蝉が多い。我が家の庭に、なんとなくうれしい。
『ふたたびは帰らず深き蝉の穴 阿波野青畝』、たしかに、ここに抜け殻を残し、どこかへいってしまった。

あくる朝、空蝉がいない。どこにもいない。
『空蝉のいづれも力抜かずゐる 阿部みどり女』、しっかりと葉をとらえ、すこしの風に吹かれていくはずもない。撮った写真をよくみると、みずみずしいようでもあり、背中も割れていないようにみえる。かれは、穴からでてきたものの、夕闇せまる寒さの中で力尽き、羽化に失敗したのかもしれない。時が過ぎ、明るい光に身をさらされ、鳥に獲られてしまっても不思議はない。そのできごとは、ちょっとあわれな感じがしました。

 

 

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