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2018年9月23日 (日)

静かな月夜

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 ふるさとの月夜は清浄なものでした。あたりを照らす月光は静寂でありながら心おどる心地がするのです。きのうは十三夜というブログを拝見して、十三夜という言葉の響きのきれいさに、そんなことを思い出したのでした。

樋口一葉の名作 「十三夜」 も思い出します。おせきが乗った人力車の車夫は、思いがけなくも幼馴染だった。おせきは紙入れより紙幣いくらか取出して小菊の紙にしほらしく包みて、「録さん、これは誠に失礼なれど鼻紙なりとも買つて下され」 と差し出す。

「あなたのお手より下されたのなれば、あり難く頂戴して思ひ出にしまする、お別れ申すが惜しいと言つても、是れが夢ならば仕方のない事、さ、お出なされ、私も帰ります、更けては路が淋しう御座ります」

 まったく別の人生を歩むふたりは万感それぞれに、心に哀感を秘めて、月光が明るく照らす上野広小路、十三夜の夜道を別れていくのだった。一葉は、「憂きはお互いの世におもう事多し」、と結んでいる。

 

 

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